[Book] キミが大人になる頃に。

キミが大人になる頃に。―環境も人も豊かにする暮らしのかたち (B&Tブックス)
キミが大人になる頃に。―環境も人も豊かにする暮らしのかたち (B&Tブックス)

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石田 秀輝 古川 柳蔵 電通グランドデザインラボラトリー
日刊工業新聞社
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最初、電通グランドデザインラボラトリーの人が書いた本と思って手にとったものの、著者の石田さんは東北大学の教授で、「ネイチャーテック」と言う自然を活かす活動を引っ張っている著名な方だそうです(すみません、知らなかったです)。

本書は、現在の大量消費スタイルが延長した結果起こりうる惨状を避けるために、2030年に必要な新しい価値、ライフスタイルを逆算(バックキャスティング)して創造する考え方、および著者の具体例を説明しています。ちなみに、従来の方法=フォアキャスティングは、現在のシーズ・ニーズありきで、生活価値の不可逆性(不便に戻れないこと)に制約され、さらなる消費、さらなる代行を促してしまう商品開発方法のこと。

考え方のフレームワークとしては、バックキャスティング、及び、環境負荷をアイデア評価項目として加えることは、是非取り入れたい方法の一つだと思います。ただ、正直なところ、将来を想定すること、その想定が与える制約下でポジティブに妄想することは、フォアキャスティングより難しく、しかも想定と現在とのギャップが非常に大きいと、段階的に実現しつつけながらビジネス的にも回すのは非常に困難になります。実際、4章に具体例を10数個書いていますが、2030年の地球に対して全体最適をするという主目的を満たせているとは言えないものが多いように思えました。特に、お金が無いから、時間が余るから、心の豊かさを、というのは決してポジティブとは言えないような。。。また、その想定から生まれる産業とそのポテンシャルまで踏み込むべき。いわゆるハイテクは否定しちゃってるし。まあ、そんな良いアイデアがあったら逆に本で言わずに自分でやりますか。

とはいえ、著書中に出てくる、2030年曼荼羅(想定、分析、仮設からアイデア解まで円心状に広がっていくよう記述した図)、バックキャスティングで新商品を徐々に進化させるためのフレームワーク、を理解することはオススメです。あと、2つの名刺を持つ人(経験やスキルを活かす仕事と、次の時代を見据えた社会に役立つ仕事、の2つを持つ)という事例は、同様の考え方を持っていることもあり共感できます。

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