[Book] Malcolm Gladwell 「Outliers(邦訳、天才!成功する人々の法則)」

天才!  成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
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マルコム・グラッドウェルという名前と、一万時間、ティッピング・ポイントというキーワードは聞いていたので、厚木図書館で手にとった一冊が、Outlier。Outlier(アウトライヤー)は「外れ値、飛び抜けたもの、標準から外れたもの」。CMUで留学中に統計、品質分析で出てくるOutlierはどちらからと言えば信頼性の低さを示す「悪者」だが、この本、いや、この訳本は「天才」って訳してます。多分、内容的には、「抜きん出た成果を出せた人」、が正解だと思う。結論から言って、私はがっかりした訳本でした。
(ちなみに、Bookなどのレビューでオススメなものにはrecommendedのタグを付けています。分かりにくい。。。別の方法を考えなければ)

この本の趣旨は、他者に抜きん出た能力を築くのに「一万時間」従事することが必要条件なのだが、これを紐解くと、成功するには「能力」だけでなく「好機」によって、充実した一万時間を得た後にビジネス化できるタイミングが合わなければならない、というもの。

この論理を導くのに、IT成功者のスティーブ・ジョブスやビル・ゲイツ、企業買収対応弁護士のジョー・フロム、ユダヤ人、IQが高い人をトラッキングした実験、大韓航空の飛行機事故を韓国の権力格差文化克服で改善した例など、いろいろ例が出てくるが、正直、無駄に量が多い感じ。通して語られる「好機」の要因を、世代、生活環境、階級、国民性、文化、社会システム等に分解して本が終わったところは、正直、えっ、と思った。じゃあ、どうやって成功に近づくのさ?っていう指針や具体的なプロセスがない。好機の要因の大半は変えようがないものだし。単に、最後のマリータの例(貧困で学校に行けない子供を、一日10時間以上勉強させる代わりに学校をタダにする話)で機会を与え続けなさい、というお茶を濁した結論に持って行っているように少なくとも分量的に見えるのは、非常に残念。

この訳本では、「天才!成功する人々の法則」というOutlier (the story of success)の訳と、成功の定義の曖昧さがずっと気にかかりながら読んでいた。Amazonのレビューでこき下ろされている勝間さんのひどい翻訳(確かにひどい)を差し引いても、読まなくてもいいんじゃないかなぁ。

あ、親の立場で見ると、子供に充実した「一万時間」を過ごさせる方法を考えさせられます。明らかに、ゆとり教育という名の放任教育は最大の失敗だな。英語をマスターするには、1日12時間、言語能力を使うとして、やっぱり2-3年が必要ってことか。1年半の留学では足りなかった。3年赴任しなきゃ!

 

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